【リポート】熱い思いをストーリーに日本酒誕生 鹿角の農家と酒蔵

【リポート】熱い思いをストーリーに日本酒誕生 鹿角の農家と酒蔵

 鹿角市の農家と酒蔵が特別につくった日本酒が誕生し、近く発売されることになりました。

 農村の自然と風景を守ろうと、手を焼くのを承知で、無農薬のコメ作りにこだわっている八幡平黒沢の坂本寿美子さん(51)。農家9年めにして酒米への初挑戦は、「日本酒が好きだから」と笑っています。

 「県北は酒米に向いていない」と言われて久しいですが、坂本さんが育てると、丈が長く、倒れない、丈夫なコメに育ちました。

 そうできたのは無農薬栽培こそだったと、あとで気づきました。無農薬は雑草との戦いですが、人力の除草の時に土の中に窒素が多く入り、苗を強くしていた効果がありました。

 そして、その酒米を引き受けたのは、地元で唯一残る酒蔵です。2年前に市内唯一だった酒米の生産者が引退していて、「もう一度、鹿角のコメで鹿角の酒をつくりたい」と考えていました。

 世間で人気の吟醸酒、大吟醸酒は玄米を多く削る「いいとこどり」ですが、2年前に造った、逆に削らない銘柄が喜ばれていたことから、坂本さんのコメも精米歩合を91%にしました。

 酒を仕込んだこの冬、酒蔵は厳寒に見まわれ、温度管理などに極めて手を焼きましたが、機械を使わず、ほぼ手作業のみで酒造りをする、この蔵の良さが仕上がりに出たそうです。

 千歳盛の佐々木大志(たいし)社長(42)は、「コメは削るほどおいしいとか、冷やして醸すと言われるなかでも温める作業が必要だったとか、一般的な酒造りと逆に向かうこともありましたが、工夫と手間暇がかかった分、いい酒になった」と自信を示しています。

 味わいについては、「一口めに日本酒の味がガツンと来て、徐々にフルーティーな味わいになっていく、特別な味わいになった」と話し、坂本さんも、「おいしい。お米の味もふくよかで、うれしい」と話しています。

 報告を受け、試飲した笹本市長は、「おいしいし、坂本さんと千歳盛さんの熱い思いのリレーがすばらしい。大量生産で同じものをつくることが追及されてきたが、毎年違うものができる魅力、地域を守っているストーリーを、世界に発信してほしい」と期待しました。

 この酒「九割一分」は、酒蔵のオンラインショップで21日から、限定2千500本が販売されます。

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