小坂町の出身で、高村光太郎の詩集「智恵子抄」を世に送り出すなどした出版者、澤田伊四郎(さわだ・いしろう)の企画展が鹿角市の図書館で始まり、熱い思いがうかがえます。
澤田は明治37年、現在の小坂町大地(だいじ)の生まれで、昭和8年に出版社「龍星閣(りゅうせいかく)」を立ち上げました。
埋もれたもの、独自のものを掘り出して世に送ることを終始、出版の理念とし、また本の材質や美しさにもこだわり、「本の芸術家」とも呼ばれました。
鹿角市毛馬内の十和田図書館で行われている企画展では、澤田にゆかりの本や絹刷りの絵など230点が展示されています。
智恵子抄は、妻を失った高村に、澤田が思い出を詩にするように提案し、まとめ上げたものですが、龍星閣で出版した実物が展示されています。
また大正ロマンを象徴する画家、竹久夢二の画集でブームを再燃させた立役者でもありますが、日ごろは保管されている、貴重な絹刷りの絵やポストカードが並んでいます。
いっぽう、同じ小坂町出身の画家、福田豊四郎と交流があり、第一号の出版にあたり装丁を福田に依頼しており、その本も展示されています。
ほかに、澤田のインタビューや、龍星閣の出版物の表紙の写真を掲載した本があり、作家の発掘や本の造りに情熱を注いでいた姿がうかがい知ることができます。
見学した70代の男性は、「この人のおかげで世に出た作家、作品があるのだから、隣の鹿角の市民としてもうれしい。こうして、地元の人をどんどん紹介してほしい」と話しました。
十和田図書館では、「鹿角に近い小坂出身の澤田が、こだわって本を作っていたことを大勢に知ってもらおうと企画した。普段見られないものもあるので、ぜひ足を運んでほしい」としています。








