ことし、過去最多のクマの出没にみまわれている鹿角市で、議会の一般質問が始まり、対策が集中的に審議されています。笹本市長は、「市民の命を守るために、今できることを徹底していく」との姿勢を示しています。
鹿角市ではことし、目撃報告が平年の100件台を大幅に上回る900件あまりにのぼり、人身事故7件で8人がけがをし、農作物などの被害も深刻です。
9日に始まった一般質問では、2日間の日程中に登壇を通告した議員13人のうち11人がクマ対策を取り上げる予定です。
現状の認識を議員に問われた笹本市長は、「クマの頭数が増えすぎて、緩衝帯で管理できる状況にない」と答えました。
そのうえで根本的な対策として、「国に正確な状況を把握してもらい、科学的な方法で総数を管理し、人間と共存していく方向性を定めてほしい。現場の状況を訴えていく」と述べました。
市の取り組みについては、「駆除の強化や誘因物の除去など、基本的なところを徹底し、市民の命を守っていきたい」と述べました。
いっぽう、県が今後本格化させる方針を示している、人の生活圏の近くでクマの捕獲を強化する「管理強化ゾーン」の設定ですが、市はことし3月にすでに導入しています。
その状況について市側は、「市内5か所をゾーンに設定し、春に1頭、8月から11月までに32頭の管理捕獲をした」と説明しました。
また、有害駆除の人手が足りずに出没が抑制できない状況を防ごうと、捕獲用のおりの運搬など、資格がいらない業務の担い手として導入した制度で、今年度は8つの自治会で、のべ千500人あまりの活動があったことを報告しました。
ほかに、クマ対策による子どもの遊び場の確保について教育委員会は、「子どもを対象としたスポーツ施設の利用料について、臨時的な無償化措置を講じていきたいと考えている」との方針を示しました。
また市はクマ対策に特化した寄付の募集について、「準備が整い次第、開始する」とするいっぽう、2年間行ってきた誘因木の伐採補助の来年度の実施については、「効果を検証するとともに、市民にニーズを踏まえ検討していく」とし、継続を明言しませんでした。

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