寒い中で造る、すっきりした味わいが人気の鹿角市の酒蔵で、新酒の仕込みが始まりました。
長い間、低温で仕込める冬に酒造りをしている鹿角市花輪の酒蔵「千歳盛酒造」では、先月29日にこの冬の酒造りが始まり、2日にはコメを洗う作業などが行われました。
酒造りでコメは、こうじ、酒母(しゅぼ)、もろみと、酒の原料のすべてをそれぞれ造る工程で使われる、いわば主役です。
蔵人たちは、地下水をためた4つのコンテナに順に、ネットで包んだコメを10秒ずつ入れ、ざぶざぶと動かして洗っていました。
コメが吸う水の量で酒の出来が変わってしまうため、その年に使うコメの状態を見たうえで、長年のデータと熟練の感で、洗う時間を調整しているそうです。
また、コメに傷をつけないようにいたわりながらも、短時間できれいに洗わなければならないため、蔵人たちは寒い作業場でしぶきを浴びながら、ていねいに洗っていました。
この蔵ではこの秋から、去年就任した佐々木大志(たいし)社長(42)が活動を本格化しています。
佐々木さんは秋田市の出身で、酒造りのキャリアはありませんが、大手食品メーカーのマネジメント部門の勤務経験があるほか、金足農業高校時代にはエースとして甲子園のマウンドに立っていました。
佐々木社長は、「ここの酒蔵は進化を続けていて、挑戦を続けることが得意な自分と合っている。日本酒離れが進んでいるが、蔵の個性を生かしながら、唯一無二の酒を大勢に親しんでもらえるようにしていく」と話しています。
酒の仕込みは来年3月いっぱいまで続き、最初に発売するしぼりたての生酒や、近年人気のカタカナ銘柄の純米吟醸など、10あまりの酒、あわせて一升瓶にしておよそ9千本を造る予定だということです。

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