世界文化遺産に登録されている鹿角市の縄文遺跡「大湯環状列石」でほぼ毎週末、ガイドをしている中学生がいます。「情報がてんこ盛りなのが大湯の魅力」と夢中です。
大館市葛原の中学2年、石田叶夢(とわ)さんです。もともと歴史が好きでしたが、去年、インターネットのニュースで大湯環状列石が国特別史跡で、世界文化遺産という極めて高い価値があることを知り、訪れるとすぐに夢中になりました。
二つの環状列石の中心を結ぶ線が夏至や冬至に由来すること、出土品の土版が、人体を表しつつ、数も表現している可能性など、興味の種が次々出てくるとともに、ガイドをしてくれた市民が楽しく伝えてくれたことに心が動き、入門講座を受けました。
ことし7月に認定されて以降、ほぼ毎週末、祖母や母に送迎してもらい、遺跡やガイダンス施設で案内をしていて、「人生でここまで夢中になったのは初めて」と没頭しています。
ガイドの楽しさについて、「人と話す楽しさがあるし、自分が語りたい欲を満たせるし、何より、聞いた人たちが喜んでくれる」と感じています。
ガイドをしていて、気づいたことがあります。「現代人よりも縄文人の方が、考えようによってはいい暮らしをしていたと思う。今の人たちは自給自足ができないけれど、縄文人たちは自然と一体となれていたし、争いのない幸せな暮らしをしていた」。
そして、「そんな生活ができる発想、技術、秘訣を知りたい」。ますます縄文に、大湯環状列石に、夢中です。
あらためて感じる大湯環状列石の魅力とは。「現存する環状列石のなかで一番すごいと思う。この大きさでしっかりと残っているし、組石というパターンも見つかり、祭りや墓という見かたもある。情報がてんこ盛りなのが大湯の魅力」。語りはもはや、学者並みです。
将来は医師になりたいと考えていましたが、「考古学者になりたい気もちも出てきた。大湯環状列石のグッズを作って、ミュージアムショップを立ち上げて、売るのも楽しそう」と笑顔で話します。
市民ガイドの団体「大湯SCの会」の奈良祐治会長は、「勉強熱心で、意気込みも強く、ほかの会員にもいい影響を与えている。地元の中学生たちのヒントにもなってほしい」と話しています。

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