被爆者の証言を基に高校生が描いた絵画の企画展が鹿角市で開かれていて、一発の原子爆弾がもたらした残酷な光景が平和の尊さを訴えています。
この企画展は、命と暮らしを守る活動をしている「新日本婦人の会鹿角支部」が、17日から花輪の「コモッセ」で開いているものです。
展示されているのは、当時の状況を次の世代に伝えようと、被爆者と地元の高校生が絵画を共同制作している、「原爆の絵」と題した活動の作品です。
18年前から活動している広島平和記念資料館から借り受けた35点が用意されました。
作品では、焼け跡から見つけ出した、ひざ下が骨だけになった孫娘の遺体を背負う祖母の姿や、焼けただれた体を引きずって歩く人たちの行列などのシーンが取り上げられています。
遺体、負傷者、悲惨な光景が、生々しく描かれており、一発の原子爆弾がもたらした残酷さが伝わります。
また制作者たちのコメントも添えられていて、筆をもった高校生の一人は、「傷口や肉、血管を描いていると、その痛みが感じれらた」とつづり、また証言者の一人は、「原爆のことを知る人はもう少ないから、この絵を大事にしてください」と寄せています。
観覧していた40代の男性は、「悲惨な様子が、重く伝わってきました。二度と起こらないように、みんなで助け合う世界になってほしい」と話していました。
新日本婦人の会鹿角支部では、「80年前にこの日本で起きた出来事であり、今もウクライナやガザの様子が伝えられていますが、戦争はしてはいけないという意識が薄れていると思います。展示をとおして、若い人たちに平和の大切さを感じてほしい」としています。