ことし8月、会場に車が突っ込み、中断された鹿角市の民俗芸能「花輪の町踊り」が、特別な催しでやり直され、踊り手たちが憂さを晴らすように楽しんでいました。
花輪の町踊りはことし、8月下旬以降、7回が予定されていましたが、2回めの8月29日、踊りの会場に車が突っ込む事故があり、その日打ち切られるとともに、その後の日程もすべて中止されました。
踊り手たちの心にぽっかりと穴が空くなか、屋内での開催ながら、再現するような催しが企画されました。オフシーズンに毎月開かれている、踊りを楽しむ会を、本番に似せて行おうというものです。
浴衣や着物での参加を呼びかけ合い、また本番に使っている提灯を飾ったり、会場の照明を暗めにするなど、ムードはさながらです。
8日夜、花輪の「コモッセ」に踊り手およそ30人が集まりました。高校生や子連れの母親など顔ぶれは様々でしたが、ほとんどが、踊る機会を失っていたベテランたちです。
踊っている人たちの表情は真剣ながらどことなく柔らかく、また笑顔の人もおり、踊りを心から楽しんでいる様子でした。
そして催しが終わると、すがすがしいような表情がいくつも並び、町踊りの締めの光景に付き物の景品も配られました。
参加した60代の女性は、「こんなことってあるのだろうかと寂しい思いをしていたので、きょうは完全燃焼しました。しまっていた、お気に入りの浴衣も喜んでいると思います」と話していました。
また40代の男性は、「みんなでこうして再び集まれたことが何よりだと思う。この場が、次の町踊りにつながってほしい」と話していました。
花輪の町踊り保存会の菅原廣志会長(76)は、「今後どのようにするかは決まっていないが、楽しそうに踊っている皆さんの姿を見ているので、開催のスタイルがどのようになっても、必ず続けたい」と話しています。
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