鹿角市は、地域中核病院「かづの厚生病院」の経営者から、赤字などを理由に、補助金の大幅な引き上げか、公設民営や市の直営に変えるなどの抜本的な見直しが必要とする危機的な状況にあると説明を受けたことを議会に示しました。市は3年ほどかけて結論を出す方針を示しました。
19日の議員全員の協議会への市の説明によりますと、先月8日、かづの厚生病院を経営するJA秋田厚生連の役員が市役所を訪れ、笹本市長に説明をしたということです。
そこでは、医師などスタッフの確保が困難になっていること、人口減少と診療体制の縮小により患者と収益が減少傾向にあることなどが示されたということです。
厚生連の説明では、年間の収支は昨年度の2億6千万円あまりなど、平成20年度から17期連続で赤字を計上し、累積損益は昨年度末で46億円あまりの赤字としています。
また、脳神経外科が来年3月いっぱいで常勤体制から週3日の非常勤体制に切り替わることが決まっていて、さらに収支が悪化すると見込んでいます。
このため厚生連は、3つの選択肢として、開設者、運営者は厚生連のままで、市が赤字を補てんして収支を維持する案、または市が建物などの譲渡を受けて開設者になり、指定管理者制度で厚生連が市からの指定管理料をもとに運営していく公設民営の案、もしくは市が建物などの譲渡を受け、職員も採用し、直接運営する案を提案したということです。
厚生連の病院のうち、北秋田市民病院は指定管理者制度で、湖東病院は県と自治体による運営支援でそれぞれ収支が保たれているとしています。
鹿角市は現時点ですでに、医師確保などのために、毎年9千万円ほどを補助しています。
議会への説明で市は、「担ってほしい機能を残すための対策を、県、町と連携しながら検討し、3年ぐらいをめどに結論を出したい」としました。
議員からは、「守るべき病院であり、市民挙げていい方向を探りたい」「単に支援するだけでなく、経営改善などで市の意見がとおるようにしてほしい」などの意見が出ました。
市では、「鹿角地域の中核病院であり、かづの厚生病院が果たしている機能は絶対に必要だ。中核病院としてもたせる機能は、来年度までにまとめる医療ビジョンのなかで整理する」としています。
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