秋田県の指定文化財で、小坂町に残る明治時代の住宅が創建140周年を迎え、記念する行事が行われました。
小坂町中小坂にある「旧工藤家、中小路の館」は、明治18年に建てられた地主の住宅で、江戸時代に武士を務めた家系とあって武家屋敷の造りも施されていて、その姿を今に伝える貴重な文化財です。
寄贈を受けた小坂町が保存、活用していて、見学や貸館を受け付けています。
ことしの創建140周年を記念した行事が8日に施設であり、地元の神社で奉納されている権現舞が披露されました。
この「出羽神社権現舞」は、春と秋の神社の例祭で奉納されているもので、昭和40年ごろに後継者不足などを理由に中断したあと、20年前に復活しました。
町内外から訪れたおよそ30人が奥座敷で待っていると、ちょうどこの日の例祭で奉納を終えた保存会の人たちおよそ10人が施設に招かれました。
そして、太鼓、笛、鉦の演奏を背に、黒い獅子頭を持った太夫役の男性が、正月の若水くみを表した舞などを披露しました。
歴史的な建物の中で伝統芸能が演じられる特別な機会に、訪れた人たちがその風情を楽しんでいました。
鹿角市尾去沢から訪れていた70代の男性は、「地元の人たちが大事にしてきた芸能を古い建物で演じると、とても趣がある。建物も芸能もぜひ残していってほしい」と話していました。
小坂町教育委員会では、「中小路の館は小坂の重要な文化財ですが、地元の人に広くは知られていないと思うので、気軽に使ってもらい、身近に感じてほしい」としています。
(写真はクリックすると見られます)