クマの市街地への出没が多発するなか、市町村の判断で特例で猟銃を使えるようにする改正法が1日に施行され、鹿角市は対応したマニュアルの運用を始めました。
これまでは住宅が密集する地域での猟銃の使用は禁止され、人が危険にさらされている場合に限り、警察官が別の法律に基づき発砲を命じていました。
近年、クマによる市街地での人身事故が多発するなか、特に人身被害のおそれが高い場合に、住民の安全確保の措置を十分に講じたうえで、市町村長が猟友会員などに委託して猟銃を使えるようにする制度が創設されました。
そこでは、4つの条件「クマが人の生活圏に侵入」「緊急的に必要な状況」「猟銃以外の方法が困難」「人に弾丸が到達するおそれがない」のすべてを満たすよう求めています。
また実施にあたり、道路の通行制限や住民の避難も必要になっています。
いっぽう、猟銃の使用により損害が出た場合は、猟銃の使用者ではなく市町村が補償することが定義されています。
鹿角市大湯で6年前、市街地にクマが出没し、警戒にあたっていた猟友会員と警察官3人が重軽傷を負う事故が起き、その場にいた警察官がスコップや棒を持ってクマに立ち向かうなど、これまでの制度での対応の難しさ、危険さが露呈していました。
そうしたなかで国が法改正の検討を始め、去年11月に環境大臣が大湯の現場を視察するなどし、今回の法改正に至りました。
鹿角市は全国に先がけて5年前に、クマの市街地への出没に対応するマニュアルを整備しており、今回の法改正を受けマニュアルを改訂しました。
猟銃の使用までに多くの手順がありますが、鹿角市農地林務課では、「タイミングを逃さず対応できるよう関係機関とともに備えたい」としています。
6年前の大湯でのクマによる人身事故
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