戦争の悲惨さ語り継ぐ朗読会 鹿角市

戦争の悲惨さ語り継ぐ朗読会 鹿角市

 戦争と暮らしをテーマにした朗読会が鹿角市で開かれ、家族を奪われた悲痛や、生と死の狭間の様子などに、来場者たちが思いを寄せました。

 これは、戦争の悲惨さを語り継ごうと、地元の市民劇団が20年あまり続けている催しです。

 31日、鹿角市花輪の複合施設「コモッセ」に、市民およそ60人が来場しました。

 出演者たちは、「ひめゆり学徒隊」の少女の日記や、原爆が落ちた直後の町にいた当時の子どもたちの回想録などを順に読みました。

 そこでは、砲弾を受けた学友たちが苦痛で泣き叫ぶなかで、何もできないことを悲しく思った様子や、焼け残った息子の体の一部を見つけて抱きしめ、「死んでしまいたい」と泣き叫ぶ父親の姿などが語られました。

 また当時の教育の場の光景として、「死ぬ前に唱える覚悟のお経を暗唱させられた」とか、「竹やりで突撃と叫びながら人殺しの練習をしていた」などと語られました。

 ほかに、戦後80年の現代の高校生が寄せた投書の朗読では、「戦争は、争うどちらの側も正義を主張する。立場や見かたで正義は変わり、加害者にも被害者にもなる」と、戦争のおそろしさが訴えられました。

 訪れていた70代の女性は、「今、世界で戦争が起きていますが、決して、してはいけない、おそろしいものだと伝えていかなければいけないとあらためて思いました」と話していました。

 朗読会を開いた「演劇を楽しむ会」の村木哲文会長(78)は、「戦争体験は風化させてはいけない。地道な作業だが、今後も広げていきたい」としています。

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