鹿角市花輪での風力発電所の建設に向けた環境影響調査の計画に対し、市が意見を出し、景観の調査は多角的に行うことや、住民への誠実な対応などを事業者に求めています。
中心市街地からも見える花輪上沼(うわぬま)の尾根では、2つの事業者が高さ200メートル前後の風車を20基程度建設しようと手続きを進めています。
事業者による4段階の計画書の提出のうちの2番めで、環境影響調査をどのように進めるかを示す「環境影響評価方法書」の縦覧が終わり、これに対し意見を付す県が、地元の意見を参考にするために、市に意見を求めていました。
市が先月3日付で県に提出した意見は、事業者に5つの項目について対応を求めています。
そのうち景観の調査では、事業者が決める主要観光地や市街地などからの見え方だけでなく、水平方向の広がりなど多角的に行うことが必要だとしつつ、専門家や住民の意見を得ながら評価することなどを求めています。
また、事業予定地のふもとに湧き水を使った水道施設があることから、地下水への影響を調査するよう市の環境審議会が提言しており、市は事業者にこれを求めています。
さらに、住民から理解を得たうえで事業を進めることが重要だとし、適宜、ていねいかつ十分な説明を行うこと、また住民の意見に誠実に対応することを求めています。
市が事業者の計画に対する意見を出すのは、去年7月の1段階めに続くものですが、住民への対応の項目の設定は今回が初めてで、地元で反対の動きも出るなか、市は「状況を踏まえた」としています。
環境影響評価方法書の縦覧は、建設を構想する2つの事業者とも終えており、市の意見は両事業者に同じ内容を求めています。
いっぽう、10年前に同じ候補地で風力発電の建設計画があり、2段階めの縦覧まで行われていましたが、当時、市が県に提出した意見は「特になし」とする内容で、今回の市の慎重な姿勢が表れています。