クマとみられる食害、異常発生 鹿角市

クマとみられる食害、異常発生 鹿角市

 鹿角市内でクマによるものとみられる食害が異常なレベルで多発しています。今後も続き、人身被害につながるおそれもあるとし、市が最大級の警戒を呼びかけています。

 先月1か月間に市に報告があった、クマによるものとみられる食害は29件で、平年の7月一か月間のおよそ3倍にのぼり、年間をとおして異常な出没件数だったおととしと比べてもおよそ2.5倍です。

 市は特徴として、これまではこの時期に手をつけていなかった、熟す前のリンゴ、モモを狙っていることや、家庭菜園の被害の時期が前倒しになっている点を挙げています。

 そして多発の背景について、おととし秋の市街地での異常出没で、警戒が弱まったり、エサの味を覚えたりしたクマが、再び市街地に出て必死に食べ物を探しているとみています。

 注目しているのが、同じ場所に繰り返し現れているケースです。市は、「規模が小さな家庭菜園に、たった2個のスイカ、次の日は2個のトマトと、狙いをつけて来ている。たまたまではなく、その場所のわずかな食べ物をめざしている」とし、どこでも被害が起きかねない危険性を指摘しています。

 市内ではことし人身事故がありませんが、市では、「人とクマがばったり合っていないだけで、出没の多さを踏まえれば、いつ起きてもおかしくない」と警戒しています。

 食害は農作物などの被害だけでなく、周囲を巻き込む人身事故につながる懸念もあり、市は対策として、早めの収穫や、刈り払いで見とおしを良くすること、米ぬかや腐った食べ物など、強いにおいが出ないようにすること、それに電気柵の設置などを挙げています。

 市農地林務課では、「普段歩く所、農作業をする場所などにクマを引きつけるものがないかを事前に確認しておき、近づかなければいけない時は、音を出して存在をアピールしてほしい」と呼びかけています。

 市によりますと市内では6日、花輪の大曲、猿ケ平、乳牛、大湯の中岱で、クマによるものとみられる野菜、果樹の食害が見つかっており、注意が呼びかけられています。

食害があった農地(提供写真)
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