鹿角市の伝統行事「花輪ねぷた」で見ものになっている、大型の絵灯ろうの制作が各町内で大詰めを迎えていて、絵師たちが情熱を注いでいます。
花輪ねぷたは、武者絵やおとぎ話が描かれた大型の絵灯ろうが練り歩く七夕行事で、参加する10の町内それぞれで制作しています。
このうち大町ではことし、絵師の柳原大哉(ひろや)さん(30)が若者たちの協力を得ながら、先月1日からほぼ毎日、4時間ほどにわたり武者絵を描いています。
題材は、牛若丸が鞍馬天狗にけい古をつけてもらっているシーンで、花輪ねぷたで描かれている絵のなかでは特別に多い、5つの登場人物を、巧みな構図で収めています。
また美しさを引き立てようと、一つの色を3種類、4種類と濃淡を変えて塗り分けたり、光らせるろうをしぶきのように入れるテクニックで、周りの色を入れる前と後の2回行い、光に違いを出す工夫をしたりと、技術は繊細で、ち密です。
しかし柳原さんは、常に隣にいる若者のサポートを借りながら、見事な速さで、すいすいと筆を走らせていました。
縦横3.5メートルの大きな紙に、細部までこだわり、およそ2か月続く作業。
柳原さんは、「武者絵描きで大事なのは、根気と勇気だと思っています」と話します。
そして、「灯ろうを一生懸命に押してくれる若手たちがいて、完成を毎年喜んでくれる町内の人たちがいる。大町の絵は格好いいと言ってくれる人が増えるように描いていきたい」と話しています。