【詳報】鹿角が準優勝、快進撃光る 県高校野球秋田大会

【詳報】鹿角が準優勝、快進撃光る 県高校野球秋田大会

 夏の全国高校野球秋田大会は22日、秋田市のこまちスタジアムで決勝が行われ、鹿角は金足農業に1対2で惜敗し、初の甲子園出場を逃しました。開校2年めながら金星を重ねてきましたが、この日も最後まで攻めの野球に徹しました。

 鹿角は準々決勝で春の優勝校の能代松陽を、さらに準決勝で去年秋の優勝校の秋田商業をやぶり、統合前の花輪、十和田、小坂のそれぞれの最高成績のベスト8を超えていました。

 そして決勝は、去年まで優勝を7回重ね、今大会は準決勝までの4試合で2点しか奪われていない金足農業が相手です。

 序盤は、鹿角の佐藤大和(やまと)投手、金足農業の吉田大輝(たいき)投手を中心に両チームが堅く守り、4回の表と裏には、両チームがそろって外野フライからのタッチアップでホームを突きましたがアウトになりました。

 試合が動いたのは6回裏です。金足農業は3度めのスコアリングポジションにランナーを置いたチャンスでタイムリーヒットが出て、0対1と先制しました。

 さらに7回裏に金足農業が1アウト2、3塁と攻め立てますが、鹿角は内野ゴロでのバックホームと、佐藤投手が3球三振を奪い、点を与えませんでした。

 鹿角は、点を取れなければ負けという9回表に2アウト、ランナーなしと追い込まれましたが、土壇場でも果敢な攻めで相手にプレッシャーを与えて、試合を動かしました。

 アウト1つで負けのこの場面で小林洋介監督が出したサインは、攻めの、盗塁です。振り逃げで出塁した舘洞拓選手の激走が相手の悪送球も誘って、3塁まで進み、さらに野手のグラブをはじく内野安打で、1対1と試合を振り出しに戻しました。

 延長の10回は、ノーアウトランナー1、2塁からイニングを始めるタイブレークとなり、金足農業が送りバントとスクイズをともに成功させて、1対2でサヨナラ勝ちしました。対する鹿角のバッター3人は、最後までバットを振り抜きました。

 試合後、小林監督は、「9回の盗塁のサインは、ここで行かなきゃうちじゃない。鹿角高校の野球をして勝ちたいという思いだった。ただ、10回にその思いが勝利をじゃました。敗因は私です」と話しました。

 小林監督は、統合前の花輪を含め4年めのこのチームで、はじめに「走る野球」をめざし、秋の大会後はその反省から打撃をみっちり鍛えてきました。

 選手たちはその猛練習の成果を、今大会でいかんなく発揮しました。そつなく次の塁を狙い、また強打による逆転を重ねたのがその証です。小林監督は、「選手たちが、本当によく頑張った」と教え子たちをたたえ続けました。

 いっぽう、豊田鷹平(ようへい)主将は、「決勝という最高の舞台で負けたことが、本当に悔しい」と唇をかみしめました。

 「ていねいかつ大胆、そして攻めの姿勢を忘れない」という小林監督の教えに徹するチームをけん引し、ベンチでは率先して「ラインドライブ」「ツーベース」と狙いを叫びました。

 取材に対し、「自分たちの野球を最後まで貫けたのは、誇らしく思う。チームのみんなに、一緒に、全力でプレーしてきてくれて、ありがとうと言いたい」と話しました。

7回裏、ホームインを阻止した阿部捕手
(写真はクリックすると見られます)


9回表、ツーアウトで盗塁を成功させた舘洞選手
(提供写真)


泣き崩れるナインのそばへ行き、ねぎらう小林監督