地域を巡るみこしが行く先の道を清める民俗芸能「先払い舞」が、ことしも鹿角市八幡平で始まりました。
鹿角市八幡平には先払い舞が4つの集落で受け継がれていて、それぞれ市の文化財に指定されています。
20日は2つの集落で行われ、そのうち「湯瀬神明社先祓舞」では、赤や黄、水色などをあしらった衣装を着た舞い手たちが、地域の要所を巡り、伝統の舞を繰り広げました。
踊りはテンポが速く、全身を使うものになっていて、30度を超える暑さのなか、舞い手たちは汗びっしょりになって踊っていました。
かつては小学4年から中学3年までの男子が舞い手を務めるのがしきたりでしたが、少子化を受け、対象に女子、小学校の低学年、そして大人を加えて、伝統をつないでいます。
小中学生の舞い手はことし、集落の人によりますとこれまでで最も少ない、3人となりましたが、10日間のけい古の成果をしっかりと出していました。
小学4年の宮本ひな乃さんは、「踊っていると、わくわくしてきて、楽しいです。見ている人も喜んでいるので、まだまだ続いてほしい」と話していました。
また助っ人の大人のなかには、県外からこの日にあわせて帰省する人たちもいます。
青森県三沢市の公務員、阿部藍斗(あいと)さん(22)は、「踊っていて楽しいし、先払い舞が来るのを待ってくれている人たちがいるので、参加している。来られる限り、ずっと来たい」と話していました。
保存会の阿部英一朗会長(82)は、「伝統をなくすわけにはいかない。今いる人、県外から参加してくれる人とのつながりを大事にして、守っていきたい」と話しています。