【リポート】若者2人が新主役、継承順調 鹿角市毛馬内の神楽

【リポート】若者2人が新主役、継承順調 鹿角市毛馬内の神楽

 伝統芸能の後継者不足が各地で叫ばれるなか、鹿角市毛馬内の神楽で、主役の担い手が一挙に2人誕生し、継承が順調に進んでいます。

 江戸時代初期から続くと言われる鹿角市毛馬内の「川原大神楽(かわらだいかぐら)」は、地域を巡りながら獅子舞を演じて平安を願う伝統行事で、市の文化財に指定されています。

 獅子舞は2人一組で演じますが、「前足(まえあし)」と呼ばれる主役は、複雑なメロディーのはやしに合わせて舞う難しさと、何より真夏の暑さのなかで、布をかぶりながら演じるハードさがあります。

 毎年7月13日に毛馬内の中心市街地とその周辺の家や事業所を朝から夕方までかけて巡り、参拝者がいるたびに舞う回数は、およそ150回に上るということです。

 これまでは3人が交代で演じていましたが、ことしは30代と40代の男性2人が新たに加わりました。

 Uターンしてきた男性と、仕事が変わって参加しやすくなった男性で、去年までの「おっぱ」と呼ばれる後ろ足役を経て、ことしはけい古を重ね、いよいよ主役です。

 2人は13日、ベテランたちと交代で演じ、会社員の阿部諒介(りょうすけ)さん(32)は、「神楽が来るのを待ってくれている人、見てくれている子どもたちもいるので、1年間元気に過ごしてもらえるように一生懸命に舞いたい」と話していました。

 人口減少とともに各地の伝統芸能で後継者不足が各地で課題になっていますが、継承が順調な理由はなんでしょうか。

 保存会の杉本正行会長(73)は、「親がかつてやっていたから継いだという人もいるが、だいたいは仲間が仲間を呼んでいる」とし、やりがいと、楽しさの両方が重要だとしています。

 実際に阿部さんは、「地元のためになることを一つでもやりたいと思って参加した。喜んでもらっているので、やりがいがあるし、1年に一度だけの楽しさもある」と話します。

 杉本会長は、「先輩たちが350年以上続けられた理由があると思う。2人が前足をやるようになって、とても助かった。ずっと続けてほしい」と期待しています。

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