かつて小坂鉄道の顔だったディーゼルカーを展示できるようにしようと、小坂町のテーマパークで塗装修繕が始まりました。町は、愛着をもつ町民に作業を公開しています。
塗装修繕が始まったのは、昭和37年に小坂鉄道に導入され、旅客輸送が廃止された平成6年9月まで使われていたディーゼルカーです。
足として使っていた町民、街なかを走る姿にふれていた町民にとって身近な存在で、修繕を望む声が上がっていたほか、寝台特急の補修で寄付をした全国のファンにも期待の声がありました。
ディーゼルカー2台がパーク内に傷んだ状態のまま置かれていましたが、全国区の知名度を誇る寝台特急などの補修が終わり、いよいよ1台の塗装修繕が始まりました。
作業は、古い塗装をグラインダーでけずったあと、さび止めの塗料を塗り、穴を溶接などでふさぎ、下地の塗料を塗り、表面を磨いたあと、仕上げの塗装をするという、手の込んだものになっています。
手掛けているのは、全国の鉄道の廃止車両の再利用などに協力している会社「ワンマイル」で、手嶋康人(てしま・やすと)社長(45)は、「廃止された鉄道の車両や設備は、地域の人、ファンにとって大切な思い出であり、歴史的な資料でもある」と重要性を話します。
そして、「今回のディーゼルカーは、痛みはあるが、手を掛ければ輝きを取り戻せる状態だ。基に戻す作業は発掘のように繊細だが、思い出として残る人たちに違和感のないものにして、喜ばせたい」と話しています。
いっぽう、近年全国で文化財の修復を公開する動きがあるなか、近代化遺産を多くもち、活用ありきの保存を進めている町は、今回の塗装修繕の様子を公開することにしました。
そして、文化財そのもののだけでなく、直すこと、活用することの重要性に対する理解を広めたい考えです。
町では、「仕切りの一部を透明にして作業の様子を見学できるようにした。日々変わっていく状況を見に足を運んでほしい」としています。
業者による作業は断続的に行われ、第一段階は今月10日ごろまで、第二段階は今月下旬ごろから来月上旬ごろまで、そしてその後の第三段階へと進み、9月末までが見込まれています。
また、ファンたちでつくる「小坂鉄道保存会」でも、台車の塗装修繕などを想定しています。