情勢不安の国債売却で赤字決算 鹿角の農協

情勢不安の国債売却で赤字決算 鹿角の農協

 鹿角市と小坂町を管轄する農協の総代会が開かれ、世界的な情勢不安で時価が大幅に下落した国債の計画外の売却などにより、9年ぶりの赤字決算が提出され、承認されました。

 2千600あまりの個人と法人で組織する「かづの農協」の総代会が27日、鹿角市花輪の農協会館であり、昨年度の事業報告と、赤字決算による損失処理案が提案され、原案どおり承認されました。

 赤字決算の要因の一つは、安定した収益を見込んで購入してきた国債が、世界的な資材価格高騰などで各国が政策金利を上げるなか、簿価に対する時価の下落率で46%まで悪化したため、満期を待たず売却したことによるものです。

 執行部は、「減損処理をして満期まで保有した場合、さらに評価損が拡大する可能性があり、売却すべきと判断した」としています。

 これらにより決算では当期損失金2億3千万円あまりを計上し、剰余金を取り崩して対応しました。

 取り崩し後の剰余金の残額は5億6千万円あまりですが、おおむね5年間で剰余金を回復する目標を立てています。

 出席者からは、「満期40年の特殊な国債を購入したことが問題だった。修正は早期にするべきだ」などと指摘され、阿部浩一組合長は、「リスクに関する認識不足があった。早期対応の経営をしていく」と陳謝しました。

 また、昨年度の事業について執行部は、「天候不順による農作物全般の収穫量の減少などがあったものの、おおむね計画並みの実績が見込まれていた」「国債の売却などがなかった場合、1千600万円の当期利益を計上していた」としました。

 いっぽう、新年度の事業計画書では、営農や経営の指導における「出向く体制」の強化などにより、農業者の所得拡大、地域活性化をめざすとともに、当期剰余金2千万円あまりを積み戻すこととし、承認されました。

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