鹿角市が、見直しを進めている、将来の人口の見とおし「人口ビジョン」を議会に示し、議員からは対策を強調して市民に周知するよう求められました。
市は8月にまとめる人口ビジョンの修正案をこのほど、議員全員の協議会で示しました。
市側は、15年後の人口の2万人の確保を掲げたこと、対策として、若い世代向けの政策を強化することなどを説明しました。
5年前の見直しに対する総括を問われた市側は、「出生率の回復、維持を目標に掲げて子育ての経済支援などをしてきたが届かなかった。社会増も目標にしたが、移住者の獲得はクリアしたものの、それ以上に転出が多かった」と説明しました。
そのうえで今回のビジョンについて、「人口構造をどうもっていくかを大事にしている。生産人口が老年人口を再び上回る目標としている」としました。
また、「何を重視しているかが市民に見えにくい。対策を強調した方がいい」との提案に対し市側は、人口ビジョンは展望であり、対策は総合計画で示すことを説明したうえで、「国勢調査で初めて、若い女性のUターンが転出に対しマイナスになった。対策を打ち出していく」としました。
いっぽう、近年の若年女性の流出の急増の背景を問われた市側は、「首都圏で景気が緩やかに回復し、求人が急増した時期と重なっている」と説明し、「地元の就職が、賃金水準やキャリア形成で、魅力的になることが必要だ」と述べました。
また、「若者に魅力のあるまちづくりをどう展開していくか」との問いに対しては、「買い物や交通の利便性、町のにぎわいが不足していると指摘されている。都市に劣るものはあっても、地域の人の良さ、暮らしやすさなど、鹿角市ならではの政策をしたい」と答えました。
笹本市長は、「実現可能性を重視すべきと考えている。現実を直視し、達成の可能性に配慮した目標値を設定した」と述べました。
また、状況を見極める際の解像度を上げることに注力する方針を示した笹本市長に対し、議員から市町村合併が視野にあるかが問われると、「解像度を上げていく議論のなかで、もしかしたら合併という選択肢も出てくると思う。あくまで可能性の話だが」と述べました。
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