実現可能な医療ビジョンを策定へ 鹿角市

実現可能な医療ビジョンを策定へ 鹿角市

 鹿角市は、およそ10年後に実現可能な地域医療の目標などを示す「医療ビジョン」を策定することとし、議会に説明しました。

 議会の教育民生委員会が19日に開かれ、市が医療ビジョンの策定の背景や目的などを説明しました。

 それによりますと、市内では人口減少に伴う患者の減少や、派遣元の医科大学での医師不足などで中核病院の体制縮小が続くほか、開業医や薬剤師の減少も問題化しています。

 また、実現が極めて難しいなかにあっても、出産受け付けの再開をめざすことだけをアナウンスするなど、地域の期待と現実の医療環境のギャップについて、市民への説明が近年不足していたという反省が、市にあります。

 このため市は、「先が見えないことで市民の不安が高まっている」などとし、およそ10年後の実現可能な目標とする医療ビジョンを、市民、医療関係者などとつくることにしました。

 委員会で市は、「こういう医療は鹿角で受けたいという地域の願いを、単に願うだけでなく、関係者の了解のもと、実現できるベースで見える化したい」と説明しました。

 また対策も示すとして、「めざす将来と予想される将来の差をいかに埋めるかを探るなか、可能なものは、医療機関への支援や住民の行動など必要な対策を立案し、いっぽう地域で実現できないものは、大館などに頼る場合の受診者のアクセスなどを検討したい」としました。

 委員からは、「市長の、出産受け付けの再開をめざさないという判断は、全国の医師不足などから理解はできるが、不安へのフォローもほしい」との意見がありました。

 これに対し市側は、「地元でできないと判断したものでも、地域外の医療へのアクセスなど何らかの対策を考えていく」と説明しました。

 市は市民、医療機関などと検討を重ねながら、今年度中に骨子をまとめ、来年度中に完成させたい考えです。

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