出産受け付け再開「めざさない」 鹿角市の笹本市長

出産受け付け再開「めざさない」 鹿角市の笹本市長

 鹿角市の笹本市長は、大館市の病院に集約されたままになっている出産の受け付けについて、再開が困難などとし、めざさない考えを明らかにしました。市長が代わった鹿角市が、新たな方向性を明確に打ち出した形です。

 鹿角地域で唯一だった中核病院での出産の受け付けは、医師不足を理由に7年前、大館市の病院に集約され、市は再開をめざし要望活動などをしてきました。

 市内の年間の出生数は、その前後は150人台から160人台で推移していましたが、2年後に110人台まで減り、さらにその後は100人を切っています。

 ことし4月に就任した笹本市長が初の議会に臨むなか、18日の一般質問で、再開に向けた取り組みをただされました。

 答弁で笹本市長は、再開のためには複数の産婦人科医などの常駐が必要であることや、市が独自で産婦人科医を確保した場合、医師の派遣元の大学との関係が崩れ、ほかの診療科への影響が懸念されるなどの課題を示しました。

 さらに、自身の妻が先日出産したという立場から、「私自身の経験を踏まえても、安全な分べん機能を維持、確保するためには、大館市立総合病院への集約はやむを得ず、かづの厚生病院での再開は難しいものと考えている」と述べました。

 その後、発言の内容を確認した取材に対し笹本市長は、「再開はめざさないという考えです」と説明しました。

 いっぽう今回の一般質問のなかで笹本市長は、「医療の縮小のなかで不安の声が寄せられている」とし、その対応として、将来的にこの地域で必要な診療科などを明らかにし、その維持における課題と解決策を整理する医療ビジョンを来年度までに策定する方針を示しています。

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