世界文化遺産に登録されている鹿角市の縄文遺跡「大湯環状列石」で、市民たちがボランティアで草刈りに汗を流しました。こうした市民の行動が、遺跡を長年支えています。
日曜の15日、地元の自治会や団体から20人あまりが遺跡に集まり、翌週のイベントの臨時駐車場となる場所やアクセスの県道の脇などをていねいに刈り払いました。
参加した70代の男性は、「遺跡の広さをあらためて感じた。それほど偉大だと思うし、こうした気づきが地域で広がってほしい」と話していました。
大湯環状列石の指定地は東京ドームおよそ5個分の25万平方メートルと広大で、活動に対し教育委員会は、「この時期は最も草が伸びるだけに、たいへんありがたい」と感謝するいっぽう、「こうして遺跡にふれて、関心が高まってくれたらうれしい」とも話しています。
参加団体の一つ、大湯郷土研究会は、農業用水の工事で見つかった遺跡の価値の高さに気づいた、地元の郷土史家や実業家たちが立ち上げた会で、その後の遺跡の保護と調査を進めたのが、行政ではなく民間の人たちだったことに、現代の驚きがあります。
その後も大湯環状列石では市民たちが、遺跡をアピールするイベントや、価値を伝える勉強会を開いているほか、世界文化遺産への登録後、好評のガイドを担っているのも一般の市民たちです。
そうして遺跡の発見から94年の長きにわたり、市民の行動が遺跡を支えており、全国の遺跡を知る考古学者たちが、「大湯が国内の文化財保護のモデルになった」と高く評価しています。
この日活動した大湯地域連絡協議会の会長で、大湯郷土研究会の副会長も務める三上豊さん(78)は、「大湯、鹿角には全国、世界に誇れる財産が多くあるが、市民の関心がいま一歩だ。魅力を広く知ってもらう機会をつくっていく」と話しています。
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