少子化により全国で中学校の部活動の運営が難しくなるなか、鹿角市の2つの中学校の吹奏楽部が、鹿角で初の合同バンドによるコンクール出場をめざしています。逆境、保護者の協力、そして部員たちの情熱。目標は全県切符の獲得です。
これは、八幡平中と尾去沢中の吹奏楽部員たちによるものです。関係者によりますと、鹿角の中学生のコンクールへの合同バンドの挑戦は、初めてです。
部員の数は八幡平中が16人、尾去沢中が8人。20人以上でコンクールに臨むほかの学校に、たとえ技術で上回っても、迫力で引けを取るならば、少子化のなかで合同バンドの結成は自然な流れでした。
いっぽう、合奏の肝は、調和です。今月こそ合同練習が中心になっていますが、先月までは週1回だけでした。
その逆境を乗り越えるために部員たちは、合同練習の時に、音のずれなど課題を明らかにし、各校での練習で磨きをかけて再び合同練習に臨むことに力を注いだそうです。
また、合同練習の会場となる、どちらかの学校への部員たちの足を、保護者たちが補いました。学校側は、「保護者の協力がなければここまでできなかったし、そうした支えを部員たちが感じて、思いを強くしている」とみています。
ところで、多感な中学生たちです。ほかの学校の部員と一緒の活動に、気おくれなどはなかったのでしょうか。
これについても学校側は、「照れや、しり込みよりも、むしろ音の厚みが増すうれしさの方が勝っているようだ。他校も一緒ということで、刺激し合っているし、責任感も増している」と手ごたえを得ています。
尾去沢中3年、平彩菜(たいら・あやな)部長は、「最初は人間関係や合同練習の頻度などで不安がありましたが、人数が多いので心強く感じている。みんなの気もちもまとまってきたし、盛り上がってきた」と話しています。
また八幡平中3年、伊藤つばさ部長は、「音が厚くなって、演奏が楽しくなったし、みんなの雰囲気も明るくなった。親の送迎にも助けられているので、コンクールの結果で恩返ししたい」と意気込んでいます。
八幡平中と尾去沢中の合同バンドは、14日の鹿角吹奏楽祭での発表を経て、来月7日に県北地区のコンクールに挑みます。
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