「顔」のディーゼルカー、待望の修繕へ 小坂町

「顔」のディーゼルカー、待望の修繕へ 小坂町

 かつて小坂鉄道の顔として親しまれ、小坂町のテーマパークで傷んだ状態のまま置かれていたディーゼルカーが、いよいよ修繕されることになりました。

 小坂鉄道では旅客輸送の廃止まで、特注で造られた7台のディーゼルカーが活躍していました。クリーム色とオレンジのデザインや、都市の車両のようなロングシートの一部への採用などが特徴です。

 貨物輸送のみとなった平成6年秋に、その1号機が町の博物館に移され、小坂鉄道レールパークがオープンした平成26年からは、駅構内に置かれたまま町が譲り受けた別の1台とともに保管されてきました。

 これまでは全国区の知名度を誇る寝台特急の補修が優先されてきましたが、町民にとってはディーゼルカーこそが小坂鉄道の顔であり、駅構内に傷んだ状態のまま置かれていたその車両の修繕を望む声が上がっていました。

 一昨年度に寝台特急の補修が終わり、町はいよいよディーゼルカー1台を修繕することとし、昨年度の調査を経て、今月15日に議会に提案することにしました。議決を得られたら、ただちに作業に入り、来年春にもお披露目したい考えです。

 待っているのは町民だけでなく、全国の鉄道ファンも同様で、寝台特急の補修の際に行ったクラウドファンディングでは、ディーゼルカーの修繕も求める声が寄せられており、町は寄付の残金を今回の財源の一部にする考えです。

 その価値を最も知る市民グループ「小坂鉄道保存会」も、すでに行動しています。これまでディーゼル機関車や貨車の補修を手作業で進めてきましたが、去年12月、いよいよディーゼルカーに着手し、台車の塗装や電気設備の復旧など、できることを進めています。

 保存会では、「鉄道はその土地の歴史と文化を伝える遺産だ。小坂鉄道にとってディーゼルカーは目玉であり、復活により大勢の人たちに往時に思いをはせてほしい」としています。

(写真はクリックすると見られます)