文化財の計画づくり、最終案を決定 鹿角地域

文化財の計画づくり、最終案を決定 鹿角地域

 鹿角市と小坂町が進めている、文化財の保存、活用に関する計画の最終案がまとまり、策定する会議で承認されました。年内の国の認定がめざされています。

 文化財をめぐっては、これまで保存の取り組みが中心でしたが、活用を促そうと国が全国の自治体に対し、文化財保存活用地域計画の策定を求めています。

 鹿角市と小坂町は同一文化圏に属すことなどから、全国でも珍しい、複数自治体による策定を進めていて、先月30日に鹿角市交流センターで開かれた、専門家や関係者を招いた協議会で最終案が承認されました。

 鹿角市と小坂町には、指定、登録された文化財が110件あまりあるほか、未指定、未登録のものが千500件あまり確認されています。

 計画では、これらの活用を進めようと、地域ぐるみ、そして鹿角、小坂の一体による取り組みを盛り込んでいます。

 そのうち後継者が不足する祭りについては、参加者の募集の公表や、学校教育での活用、それに、デジタルデータで保存してホームページで紹介して、地域の人たちが活用しやすいようにする方針です。

 また、鹿角市の旧尾去沢鉱山の観光坑道や小坂町の観光施設、旧小坂鉱山事務所などを周遊する観光に取り組むなど、鹿角と小坂を一体にした取り組みも盛り込まれています。

 そのほか、市民ガイドを育成したり、観光客向けの祭りの実演を地元の人が担うなど、地域ぐるみによる活用がめざされています。

 今後、国から審査を受けるなどし、ことし12月下旬の文化庁認定がめざされています。

 計画策定協議会の会長を務めた熊谷常正・盛岡大学名誉教授は、「人口減少が進み、保存、活用が難しくなるなか、鹿角市と小坂町の協力は、全国の先駆けとなる誇らしい取り組みだ」と話しています。

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