【地域の話題】仰天するサクラ 鹿角市八幡平

【地域の話題】仰天するサクラ 鹿角市八幡平

 仰天という言葉はめったに口に出ませんが、初めて見た光景であれば使い方に間違いはないでしょう。鹿角市八幡平で、仰天するサクラが咲いています。

 去年9月、持ち主がサクラと思って長年育ててきた木に、モモの実がなったという出来事を鹿角きりたんぽFMで紹介しました。

 八幡平小豆沢の安倍(あんべ)良行さん(74)が庭で35年ほど育ててきた木は、サクラと注文して届いた苗で、今では毎年春に、八重のきれいな花を咲かせています。

 ところが去年秋、初めて、直径3センチほどのモモの実が100個ほど実り、安倍さんを驚かせました。

 春になった今、その木はどうなっているのでしょうか。1日、安倍さんの庭を訪れました。

 咲いていたのは、やっぱりサクラの花でした。

 確かに記者も去年秋、同じ木に実った、ほんのり黄色がかった、白いモモの実を見ましたし、かじると渋いモモの味がしました。

 仰天する記者の横で、安倍さんは笑っています。「笑うしかない」。そう言って、笑っています。

 サクラの多くが、モモと違い、花と葉が一緒につきませんが、この木もサクラだと主張しているかのように、この日の時点では葉が一切ありません。

 そして足元には、去年実ったモモから出た種がいくつも転がっています。そして決定的な証拠も見つけました。枝から落ちずに残ったモモの実が、サクラの花のそばに付いていました。

 「サクラなのか、モモなのか。専門家に見せようか。いや、分からないままの方が面白いかな」と安倍さん。

 「大事にしなきゃと、つくづく思う」と言い、いとおしそうに木を見ています。

(写真はクリックすると見られます)