失職に伴う鹿角市の市長選挙は27日に投票が行われ、新人の笹本真司氏が5人による選挙戦を制し、初当選を果たしました。
鹿角市の市長選挙の開票結果です。
笹本真司氏、無所属、新。当選 5268票
関厚氏、無所属、前。 次点 4746票
金澤大輔氏、無所属、新。落選 2367票
奈良大氣氏、無所属、新。落選 754票
藤井陽光氏、無所属、新。落選 436票
関前市長の市政運営への評価が最大の争点になった選挙で、新人の笹本氏が前職の関氏に522票差をつけ、初当選しました。得票率で4ポイント差という接戦でした。
27日夜、花輪六月田の選挙事務所で当選の知らせを受けた笹本氏は、その瞬間、喜びを爆発させたあと、目を潤ませながら支持者たちと握手を交わすなどしました。
取材に対し笹本氏は、「混乱と停滞、相互不信の市政から、活力と対話、そして相互信頼に基づく建設的な議論ができる市政を訴えてきた。しっかりと届いたと思う」と手ごたえを話しました。
そして、「人口減少をはじめたくさんの課題がある。子どもたちが、未来を背負っていきたい、この鹿角をもっと良くしていきたいと思えるように、私たち大人、政治家が、背中で格好良さを示していく市政をめざしたい」と意気込みました。
笹本氏は広島県出身で、八幡平湯瀬に住む39歳。大手プラント会社での海外勤務などを経て、ことし2月の議会の解散まで市の議員を1期務めました。
今回の選挙戦では、市政の混乱を解消する信頼関係の再構築とともに、対話のある社会づくりなどを訴えました。
賛同する議員、市民などと草の根の運動を展開した結果、めざす政策や人柄が大勢に浸透し、また市政の変革を求める市民の受け皿になりました。
(写真はクリックすると見られます)
いっぽう敗れた関氏は、開票結果が判明してから選挙事務所の支持者たちの前に姿を現し、表情を変えることなく淡々と、「たいへん多くの皆さんから支持をもらった」などとあいさつしました。
取材に対し、「実績と改革という点を説明していく必要があったが、市長として説明するチャンスが少なかった」とするいっぽう、今後について、「少し考えて決めたい。透明で公正な市政を望む声をつないでいきたい」と話すにとどめました。
金澤氏は、報道陣用に開放した店舗で、穏やかな様子で記者会見に応じ、「前職の支持が高かったことから、市民が現状を理解していないということを残念に思う。前職が当選しなかったことが、まずは良かった」との思いを話しました。
今後については、「自分が政策に掲げたことを、個人的にやっていきたい。今後政治に関わることはない」との考えを示しました。
奈良氏は、選挙事務所で、口を一文字に結んで結果を聞き、集まった支持者たちの前で、「力及ばす申し訳ないです」と深く頭を下げました。
取材に対し、「知名度が今ひとつだったということかもしれない。市政へのあきらめや批判を聞き、そうした方からは応援しているという声をもらった。鹿角のために頑張っていきたいと思うが、選挙に再挑戦するかはまだ考えていない」と話しました。
藤井氏は、結果が判明してから事務所に姿を現し、「皆さんありがとうございました。私の力不足で申し訳ありません」と何度も、深々と頭を下げました。
取材に対し、「結果が衝撃的で、まだ考えをまとめ切れていない。若い人の心を捉えきれていなかったと思うし、掲げた政策の真の意味を伝えきれていなかったのかもしれない。もう少し期間が長ければ、自分の考えを伝えられたのではないか」との考えを示しました。
投票率は58.4%で、前回を4.7ポイント下回りました。立候補者が過去最多となったことや、若い年代の立候補者が多いことなど、上昇を後押しする材料はありましたが、市政の混乱のなかにあって、有権者たちの嫌悪感や、市政へのあきらめが表れたとみられます。
いっぽう、今回の選挙の基準の得票数千357.1票を下回った藤井氏と奈良氏の供託金が鹿角市に帰属することになりました。