【特別企画】鹿角市長選、立候補予定者5人の主張

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 20日に告示、27日に投開票が行われる鹿角市の市長選挙に立候補を予定する人たちの「主張」を掲載します。

 内容は、鹿角きりたんぽFMが用意した10の質問に対し、30秒以内で話していただいた回答です。

 掲載は五十音順で、告示2週間前の今月6日までに立候補を表明し、放送を希望した5人の主張です。このほかにも立候補者がいる可能性があります。

質問
① 今回の市長選挙への立候補を決意した理由、背景を教えてください。

金澤大輔氏
 8年間、市議として現場を歩き、学び、全国の事例を研究しながら提案をしてきましたが、課題は改善されず、特に関市政の4年間、市政は停滞し、政治ができない状況でした。
 私自身、無力さを痛感し、政治から離れ、鹿角を離れる決意までしましたが、このまま何もせず、次の世代につけを残していいのかと思い悩み、出した答えが、逃げるではなく、挑む、でした。

笹本真司氏
 約4年間、鹿角市議会議員を務めて見たものは、市長と議会の対立でした。双方に問題は感じたものの、議会は新しい力で変わりつつありますが、関市長に関しては、毎回同じ構図で疑念と思い込みが暴走し、対立を深めることが致命的でした。
 そこでもう、自分がやるしかないと思いました。 

関厚氏
 4年間、市政の改革に取り組んできましたが、残っている部分があり、これらの改革は後戻りすることができない状況にあります。
 公約についても、種をまいたが、まだ花の咲かないものがあります。その仕上げをするために立候補を決意いたしました。

奈良大氣氏
 前市長と議会の混乱を目の当たりにし、自らが動かなければ市政は変わらないと考えました。
 市民本位の政治を取り戻し、鹿角市の未来を守りたいという思いが決意の理由です。

藤井陽光氏
 鹿角市の止まらない人口減少を食い止めたい、経済的苦境から救いたいという思いです。
 鹿角市の経済状況はコロナ禍以来、たいへん落ち込んでおりまして、事業者数でいえば3分の2に落ち込んでいるということが言えます。何とかそこから経済的苦境から脱していくようにしたいという一念です。

② この4年間の市政について、評価する点や課題を挙げてください。

金澤大輔氏
 評価としては、市政は停滞から低迷まで落ちた、です。山積する課題は手つかずのままなうえ、小児科医師の常勤派遣の中止など医療低下が進んでしまいました。
 何より問題なのは、結果として、数多くの根拠のない発言で混乱を招き、市民の分断を生んだ手法は、トップとしての資質に欠けるものだと思います。

笹本真司氏
 いくつかの市役所の業務プロセスのなかには透明化された部分があると思います。いっぽうで、市役所内外での関係者との意思疎通や信頼関係の構築には、課題を感じます。
 また、ますます財政的に重荷になる、公共施設やインフラの維持費削減への対応も、やりたいことへの気もちが先行し、先送りされてきたと感じます。

関厚氏
 4年間、クリーンで公正な市政の運営に、市民、職員の応援を得て取り組んできました。このことについて、多くの市民の評価をいただいていると思います。
 これらの課題については、すべて解決しているわけではありません。後戻りをしないよう頑張っていきたいと思っています。

奈良大氣氏
 対立と波風ばかり生み、何もなしえなかった4年間だと評価しています。 

藤井陽光氏
 鹿角市のいろいろな事業などは多少の浮き沈みはそれぞれあったと思うのですが、基本的に言うと、停滞から抜け出せていないという感じがします。
 特に市政の、これからどのような町をつくるかとか、大きなグランドデザインがないように思います。

③ 議会解散、市長不在、市民の分断など市政が混乱する今、どんな手当てが必要と考えますか。

金澤大輔氏
 一連の混乱の原因は、多くの根拠のない発言と、それを自ら正当化して、流布したものを市民が信じてしまったことと捉えています。ただそういった背景には、市民の行政不信があったためと考えます。
 本当の意味での、開かれた市政として、役に立てる行政として、市民に寄り添う政策や対応が必要と考えます。

笹本真司氏
 高い視座に立ち、自ら率先して鹿角市の利益のために行動できる市長、議会が必要だと思います。市民の代表者たちがけんかに明け暮れて、市民が団結できるわけがありません。
 実るほど、こうべを垂れる稲穂かな、と言いますが、市民は謙虚で、誠実なリーダーを求めていると思います。

関厚氏
 意見の相違は当然あると思いますが、市民の分断はないと考えております。
 お互いが、対決するより解決していく姿勢が大切であると思っております。

奈良大氣氏
 市長自身が積極的に市民や議会と対話し、市民の声を市政に反映することで、対立から協調の市政へ転換します。
 ICTを活用した、透明で、公平な市政運営も進めます。

藤井陽光氏
 市政の混乱という問題も一つの重要な争点になると思いますけれども、私はむしろ、現実の鹿角の経済状況の苦境など、もっと重要な問題を中心に議論することが必要だと思います。
 論点をもっと大事なことに切り替えて、みんなで議論することが必要だと考えます。

④ 鹿角市に住む人たちが今、一番困っていることは何だと思いますか。そして、そこにどう対応していきたいですか。

金澤大輔氏
 当事者として対峙している問題により、困りごとや市の課題はそれぞれ違うと思いますが、医療サービスの低下であったり、人口減、少子化、若者の流出、介護問題、低所得、もっと身近で言えば、マルホンショックなどの商業施設の撤退など、先の見えない不安でいっぱいだと思います。
 例えば商業施設誘致活動なども含め、それぞれの課題に応じて行政としてできることを最大限努力していきます。

笹本真司氏
 市民が一番困っていることは、地域の少子高齢化です。地域のあらゆる部分に影を落としています。
 公的な支援に加え、昔ながらの助け合いを、今に合った形で強化することが大切です。私も先日、第二子が生まれましたが、移住者で家族親戚がいないなか、上の子どもの面倒を見てもらったり、地域の方々にたいへん助けられています。

関厚氏
 物価高が市民の生活を圧迫しております。このため予算対策とともに、きめ細やかな行政が必要となります。
 予算については、これまで、国、県の人とのつながりを生かして、確保に努めてきており、具体的には商工会、農協など関係団体と協議していくことにより、解決していきたいと思っております。

奈良大氣氏
 人口減少と地域経済の低迷が深刻です。
 子育て世代や高齢者の生活負担軽減、地域経済活性化のための支援策を実行し、安心して暮らし続けられる町をつくります。

藤井陽光氏
 若い人は子育てどころでない、生活のため必死に働いている。高齢者の方は緊縮生活を送っている。そのなかで生きがいを見つけながら懸命に生きているという現実だと思いますので、それに対して緊急の経済対策、子育て対策を実施していくことが大切だと考えます。
 
⑤ 最も実行したい政策を1つだけ挙げるとともに、理由を教えてください。

金澤大輔氏
 まずは挑戦する町、鹿角として、多くの挑戦に取り組んでいきます。そのなかで最重要課題と捉えているのが、農業再生。
 理由としては、本来は基盤産業であり、生活基盤を築く重要な基礎部分。農地を守ることで、獣害から人の住環境を守ることになり、コメや農作物を作ることで暮らしが守られ、売ることで観光につながり、すべてにつながっているからです。

笹本真司氏
 当事者意識をもった、主体的な人材の育成です。
 未来の鹿角の社会を担うのは子どもたちです。彼らが地域を愛し、様々な課題に当事者として自ら取り組む姿勢と力を身に着けてもらうことは、地域の未来を築くために最も大切なことだからです。

関厚氏
 私は透明で公正な市政をめざし、市民生活を安心、安全なものにするために努めてきました。さらに市民に信頼される市役所であるために、利権を断ち切り、ごく普通の市政に戻したいというのが私の強い願いであります。

奈良大氣氏
 隠れ教育費の実質無償化です。
 子育て世代の経済的負担を軽減し、若い世代が安心して子どもを育てられる環境を整えることが、人口減少対策に直結すると考えているためです。

藤井陽光氏
 将来的には公立大学の設立を掲げているわけですが、今、子育てを含めた経済対策が最も鹿角市民の緊急の課題として求められているので、経済対策を第一に行いたいと思っております。

⑥ ⑤を実現するために、具体的にどのような取り組みをしていきますか。

金澤大輔氏
 市営農園、農地保全、クラインガルテン、六次産業、丸ごと売り込み、開き校舎活用など、他自治体で取り組まれている先進事例を基に、6つのプロジェクトを考えています。
 そこに、働き手や関係人口として、市内の人材の副業推進と、市外への発信に注力していきます。

笹本真司氏
 教員の働き方改革に加え、一人一人の個性に合わせて能力を引き出す教育に力を入れます。
 また、地域を引っ張るリーダーの育成も大切になります。山形県遊佐町で導入されているような、少年議会の仕組みを導入したいと思います。地域の様々な課題と向き合い、自ら行動する経験を、中高生のうちから積むことはひじょうに有益だと思います。

関厚氏
 市民の皆さんが気軽に市役所を訪問でき、その際にきちんと対応ができるよう、市長が先頭になって取り組みます。
 皆さんが困ったら、率先して相談に乗れる市役所にします。たらい回しはなくします。いつでも市長室、地域づくり協議会、市長への手紙を活用し、皆さんの声を吸い上げていきます。

奈良大氣氏
 学校給食費、教材費、修学旅行費など、教育費負担の実態調査を迅速に行い、市の予算の効率化とICT化によるコスト削減分を財源に充て、段階的に無償化を実現します。

藤井陽光氏
 経済対策として、企業の支援、雇用創出など5つの緊急経済対策を実施していきます。
 また医療費無料など、子ども対策としての3つの緊急子育て対策を着実に打っていきまして、財政と相談し優先的順位をつけながら行いたいと思っております。

⑦ 鹿角市には、町の活性化に向けて武器になりうるものとしてどんなものがあり、市長としてどのように生かしますか。

金澤大輔氏
 世界遺産や無形文化遺産、スキー場や道の駅、かづの牛、八幡平ポーク、鹿角ホルモンなどの食を合わせたイベントの創出や、市民運動会や盛んな社会人スポーツもローカルプロとして地域リーグを創設し、優勝争いなど地域コンテンツとして磨きをかければ、工夫次第でなんでもできると思います。

笹本真司氏
 十和田八幡平をはじめとした雄大な自然や、世界遺産にもなっている様々な伝統文化は大きな魅力です。
 それを生かすには、私たちも勉強して、表面的、形式的な部分だけでなく、歴史や意味についての理解も深め、様々なひき出しを準備し、市内、日本中、世界中の方々にその魅力を伝えることが大切です。

関厚氏
 鹿角市にはきりたんぽなど素晴らしい郷土食があります。ことし1月には、かづの牛は農林省のGI登録がされ松坂牛とならび、3月には鹿角ホルモンが文化庁の100年フードの登録を得ております。3月登録の食文化ミュージアムと合わせ、食文化とユネスコの町をめざします。

奈良大氣氏
 豊かな自然、温泉文化、農業、特産品など地域資源や、世界遺産などの観光資源も豊富です。
 これらを全国に発信するために、デジタルマーケティングやSNSを活用した情報発信と観光誘客を進めます。

藤井陽光氏
 鹿角市は十和田湖と八幡平の2つの国立公園にはさまれていて、両方に接している、たぐいまれな地域です。なおかつ温泉もありまして、たいへん恵まれた地域です。
 それを観光だけでなく、大学の設置とかにも生かせると思うので、様々な分野で生かしていきたいと思っております。

⑧ 最大の課題、人口減少対策に、具体的にどのような取り組みで対応していくか。

金澤大輔氏
 まずはこれまで取り組んできた経験を生かして、出会いの機会創出に力を入れます。そして子育て支援。外から人を呼び込む仕組みづくり。東成瀬村のなるテックのような、地域おこし協力隊の採用の仕方も、制度利用上、使えるところまで使いますし、だめなら次のやり方を考えます。
 ほかにも高校魅力化などデュアルスクールのような外から生徒を呼び込む仕組みづくりなど、考えられる、できることはすべてやります。

笹本真司氏
 この先も人口減少自体は避けられないものの、若者割合の増加や、健康寿命の引き上げに力を入れます。
 大切なものを次の世代に引き継ぎ、発展させます。産業、医療、地域コミュニティー、すべての底上げが必要です。経験豊かな先輩世代の方々にサポートをいただきつつ、未来を担う若い方々が議論を主導していく取り組みを応援したいです。

関厚氏
 鹿角市の子育て対策は、ほかの市町村より評価されるものであり、昨年、子どもたちの給食にご飯を提供して評価をいただいておりますが、このように、きめ細やかな対策を充実していきたいと考えております。
 さらに地元企業の強化により雇用力を高め、働く場を提供していくことが重要であります。

奈良大氣氏
 子育て支援、高齢者福祉の充実をつうじて、市外への流出を防ぎます。
 また企業支援やテレワーク環境整備など、地域経済の活性化で働き盛り世代の定住促進を図ります。

藤井陽光氏
 所得と子育てについては相関関係があるということが分かりましたので、セットで対策を講じていきます。子育てに関しては、医療費の無料化。それから所得に関しては、起業とか雇用の助成を行っていきます。
 そのうえで、若い人を中心に増やして町を活性化するために、公立大学の設立を行いたいと思います。

⑨ ほかの人に比べて、自分が市長として優れていると考える点を教えてください。

金澤大輔氏
 先を見る目と、発想力と、行動力が強みです。4人の子育てをしながら、独立開業。起業人であり、経営者であり、技術者です。地域活性イベントの仕掛け人であり、商業、農業、介護、空き家、相続など、鹿角の課題を一とおり経験して、その難しさを知っています。
 市議として8年学び、行政に関わってきたことで、議会、職員とも関係性を構築できている点です。

笹本真司氏
 コミュニケーション能力と状況分析力です。
 何かを改善するには、表面的なことではなく、根本的な原因に対処することが大切です。ただ人には心があり、価値観や性格も様々です。大きなことを前に進めるには、様々な配慮が必要です。その目的と状況に合わせて、柔軟な対応がとれるところは自分の強みだと思っています。

関厚氏
 公正で、誠実に、クリーンな市政運営に努めてきました。
 また国、県とのパイプにより、国等の予算制度を活用し、近隣市町村との連携により、鹿角市の行政、経済の円滑化を進めており、今後も進めていけるのが私の強みであります。

奈良大氣氏
 企業経営で培った柔軟な発想力や、ICT活用能力、世代を超えて人と人をつなぐコミュニケーション能力があり、対決ではなく、協力を促す市政運営を実現できると考えています。

藤井陽光氏
 私は国家公務員として長いこと勤めてきたので、特に経済企画庁で中曽根内閣の経済計画を担当、執筆したということは、鹿角市の再建計画に生きると思います。
 また、アイデアとか企画力はある方だと思っております。それから、気もち的に進取の気性はあると思っていますので、これらはきっと自分の優位な点だと思っています。

⑩ 選挙後に市長になったご自身から市民に呼びかけたいことをお話しください。

金澤大輔氏
 自分たちが住んでいる所を良くしたいという思いは、だれもが同じです。でも、それぞれが違う方向を向いていては、力が一つにはなれません。ここに住んでいる一人一人が歩み寄り、一人一人の一歩の挑戦がこの鹿角を変えていく原動力になります。
 トップ一人が変えるんじゃない。皆さんの挑戦と努力が鹿角を変えていくのです。どうか思いを一つにして、鹿角を笑顔あふれる町に変えていきましょう。

笹本真司氏
 市民の皆さまが、行動すれば未来を変えられることを実感し、生き生き、明るく、活力と対話のある鹿角市を一緒につくっていきましょう。
 皆さんの力があれば、きっと実現できるはずです。

関厚氏
 市民との対話が基本姿勢であります。市政の改革は市長一人でできるものではありません。多くの市民の皆さん、議員の皆さん、職員の協力が重要であります。
 このために、情報の共有が大事であり、市長としての正確な情報発信に努めていきたいと考えております。

奈良大氣氏
 選挙後は、だれもが住み続けられる鹿角の実現に向け、市民とともに歩んでいきたいと思います。
 市民の皆さんの声を何よりも大切にし、一緒に鹿角の未来をつくりましょう。

藤井陽光氏
 市民の皆さん、市の職員さん、議会の方々。信義を重んじ、誠実に接してまいりたいと思います。一緒に課題に取り組み、夢と希望のもてる鹿角市をめざして、ともに進んでいきましょう。
 私は聖徳太子ではありませんが、大化の改新にちなんで、鹿角市の令和の改新をめざしたいと思っております。