小坂町に、まるで南国を思わせる驚く光景があります。バナナの木が国道沿いにずらり。おととしもらった1本の木が、想像もしなかった状況になっています。
小坂町細越の道路沿いに、高さおよそ3メートルのバナナの木が10本ほど並んでいます。まるで南国のようですが、北国、秋田のなかでも北の端にある、小坂町の光景です。
本田俊光さん(74)の自宅前の畑です。「北国の人間だもの。南国の植物へのあこがれがあった」。おととし春、友人からバナナの幼木を1本譲り受けました。
植えると生長の速さにも驚きましたが、幹の周りに、タケノコのように芽が出てきては伸び、また別の芽が出てきて、秋には親の木も含め7本になりました。
鉢に移して家の中で冬を越し、去年春にその7本を植えると、秋にはなんと40本になりました。
「ネットで調べても、うちほど増えてない。赤玉が多いここの土が合っているのかな」。半分ほどを周囲に譲り、ことしは20本でスタートしましたが、秋の今、とうとう100本を超えました。
さらにことしは、初めて実を付けました。28日までに、4本の木で、5センチから8センチほどの実を付けています。青くて、硬く、食べられそうにありませんが、「北国で、しかも外で育てていて、ちゃんとバナナが付くなんてね」と感慨深げです。
去年の冬は、一つの実験をしました。秋に木を引き抜き、畑に深さ30センチほどの穴を掘って、寝かせて埋め、越冬させてみました。
ことし春に掘り起こすと、幹の色が家の中のものほど青々としていませんでしたが、植えなおすと、夏にしっかりと実を付けました。「生きる力に驚いたよ」と感心しています。
ことしの越冬を前に、ほしい人たちに譲っていて、小坂の人、鹿角の人、さらに、光景に驚いて立ち寄った弘前の人にもプレゼントしました。
「家の中に入れる数があんまり多いと、お母さんに怒られそうだ」と笑う本田さん。「実を食べられるようになったら最高だね」。挑戦はまだまだ続けるつもりです。
(写真はクリックすると見られます)