経常収支比率、過去10年で最多の厳しさ 鹿角市の昨年度決算

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 鹿角市の昨年度、令和5年度の決算書がまとまりました。運営面で健全性が続くいっぽう、財源の確保で厳しさがみられています。

 一般会計は総額で、歳入が前の年度から2.1%増えて211億円。歳出は2.3%増えて202億8千万円となり、実質単年度収支は3億4千200万円の赤字です。実質単年度収支の赤字は、2年連続となりました。

 財政状況を示す指数のうち、数値が低いほど自由に使える財源が多いことを示す経常収支比率は、92.8%と過去10年で最も高くなり、地域の活性化など政策で使える財源が確保しづらい状況です。

 いっぽう、借金の影響を示す実質公債費比率の過去3年の平均は、前の年度と同じ8.2%で、警戒粋とされる18%以上を大きく下回っており、財政の運営では健全性がみられています。

 歳出を項目別にみますと、福祉、児童保育などに充てる民生費が61億円で最も多く、次いで職員の給与や事務費、政策的事業など要す総務費が33億1千万円。

 また十和田図書館の建設事業費も計上された教育費が23億4千万円。市債で借入金を支払う公債費が20億1千万円。それに一般のハード事業による土木費が19億9千万円などとなっています。

 これらのうち福祉関連や総務関係はいわば必要不可欠な部門ですが、ハード事業や借入金の返済なども多く、産業振興を直接図る農林水産業費や商工費を大きく上回りました。

 いっぽう歳入で、市税などで得る自主財源と、国の交付金や借金などで確保する依存財源の割合をみますと、依存財源が16年ぶりに70%台を割って68.8%となりました。

 これは市の収入が増えたというものではなく、一昨年度の大雨災害の工事が受注者の不足で発注が進まず翌年度への繰り越しが多くなり、国の財政措置の1年遅れで市の基金で対応しなければいけなかったことなどによるものです。

 決算をとおし、一般財源がめべりするなかで、自主財源のメーンである市税を増やすこと、そのための経済対策を充実させる必要性が表れています。

 この決算について、市の議員9人による決算特別委員会が設置されていて、認定するかを来月7日から審議します。